
キャリアアップ、年収向上、新しい環境への挑戦…「転職」という選択肢は、私たちの働き方や人生において大きな転機となり得ます。しかし、その決断にはメリットだけでなく、見過ごされがちなデメリットやリスクも伴います。
こんにちは。これまで様々な業界・職種で3回の転職を経験してきた筆者が、そのリアルな経験に基づき、転職のメリット・デメリット、そして特に強調したい「最大のデメリット」についてお伝えします。転職を考えている方はもちろん、現在のキャリアを見つめ直したい方にも、何かしらのヒントになれば幸いです。
転職で得られたと感じるメリット
まずは、私自身が3回の転職を通じて「転職して良かった」と感じた主なメリットをいくつかご紹介します。
- キャリアの幅と専門性の向上: 未経験の分野や新しい役割に挑戦することで、スキルセットが格段に広がりました。異なる環境で経験を積むことで、より多角的な視点や専門性を深めることができました。
- 年収・待遇の改善: 自身の市場価値を見極め、より良い条件を提示してくれる企業へ移ることで、年収アップや福利厚生の充実を実現できる可能性があります。これは転職の大きな動機の一つでしょう。
- 現に実際筆者は年100万アップすることができました。
- 新しい環境と人脈: 環境を変えることで、マンネリ化していた日常に刺激が生まれ、新たなモチベーションに繋がりました。また、異なるバックグラウンドを持つ人々との出会いは、視野を広げ、貴重な人脈となります。
- より良い労働条件・企業文化: 前職での課題(長時間労働、人間関係、企業文化とのミスマッチなど)を解消するために転職し、ワークライフバランスが改善されたり、自分に合った環境で働けたりするようになることも大きなメリットです。
- 自己成長の実感: 新しい環境に適応し、成果を出すプロセスは、困難も伴いますが、それを乗り越えることで大きな自己成長を実感できます。
転職で考慮すべきデメリット・注意点
一方で、転職には当然デメリットや注意すべき点も存在します。私が経験から感じた主なものを挙げます(最大のデメリットは後述します)。
- 一時的な不安定さとストレス: 新しい環境に慣れるまでは、人間関係の構築や業務のキャッチアップなどで精神的な負担がかかります。給与体系や福利厚生が変わることによる一時的な不安定さも考慮が必要です。
- 期待値とのギャップ: 入社前に聞いていた話と、実際の業務内容や社風が異なるというリスクは常に存在します。情報収集は入念に行うべきです。
- 退職・転職活動の手間: 在職中の転職活動は時間的・精神的な負担が大きいです。また、円満な退職交渉にもエネルギーを使います。
- 短期間での転職はマイナス評価も: あまりに短期間での転職を繰り返すと、「忍耐力がない」「定着しない」といったネガティブな評価を受ける可能性も否定できません。
転職における最大のデメリット:「信頼残高」がゼロになること
上記のようなデメリットも考慮すべきですが、私が3回の転職を通じて最も痛感し、最大のデメリットだと考えているのは「これまで築き上げてきた社内での信頼が、転職した瞬間にゼロになる」ということです。
これは、どれだけ前職で輝かしい実績を上げていたとしても、どれだけ高いスキルや経験を持っていたとしても、避けられない現実です。新しい会社では、あなたは「新しく入ってきた人」でしかありません。
「信頼がゼロになる」とは、具体的にどういうことでしょうか?
- 過去の実績は通用しない: 前の会社でどれだけ評価されていたとしても、新しい環境では通用しません。「あの人は仕事ができる」という評判は、ゼロから自分の力で再び証明する必要があります。
- 「新人」扱いからのスタート: たとえマネージャークラスで転職したとしても、最初のうちは社内のルール、文化、キーパーソン、仕事の進め方などを知らない「新人」として扱われます。基本的なことから質問したり、教えてもらったりする場面も多くなります。
- 重要な仕事を任されにくい: 新しい上司や同僚は、あなたの実力や仕事ぶり、人となりをまだ知りません。そのため、最初から大きなプロジェクトや責任のある仕事を任せてもらうのは難しい場合が多いです。まずは小さなタスクで着実に成果を出し、信頼を得ていくプロセスが必要です。
- 人間関係の再構築: チームメンバーや関係部署の人たちとの信頼関係も、一から築き上げていかなければなりません。気軽に相談したり、助けを求めたりできる関係性を構築するには、時間とコミュニケーション努力が必要です。
この「信頼ゼロからのスタート」は、想像以上にエネルギーを使いますし、人によっては大きなストレスや焦りを感じる原因にもなります。転職による環境変化のポジティブな側面だけでなく、この「信頼のリセット」という重みを理解しておくことが、転職後に後悔しないために非常に重要です。
それでも転職を考えるなら
「信頼リセット」という大きなデメリットを理解した上で、それでも転職によって得たいものが明確であるならば、その決断は尊重されるべきです。その際は、以下の点を意識すると、新しい環境での信頼構築を早める助けになるかもしれません。
- 謙虚な姿勢で学ぶ: 「自分は経験者だ」というプライドは一旦脇に置き、新しい会社の文化やルールを素直に学ぶ姿勢が大切です。
- 積極的なコミュニケーション: 自分から挨拶したり、質問したり、チームの輪に入ろうとしたりする積極性が、関係構築の第一歩です。
- 早期に小さな成功体験を積む: まずは任された仕事で着実に成果を出し、「この人はちゃんと仕事ができる」という信頼を早期に獲得することを目指しましょう。
- 期待値調整: 最初から大きな成果を求めすぎず、信頼構築には時間がかかることを受け入れましょう。
最後に
転職は、キャリアを豊かにする可能性を秘めた選択肢ですが、同時に失うものや乗り越えるべき壁も存在します。特に、目に見えにくい「信頼」という財産が一度リセットされることは、想像以上に大きなインパクトがあります。
私自身の3回の転職経験からも、メリットとデメリット、特に「信頼ゼロからの再構築」という側面を天秤にかけ、それでも挑戦したい理由があるのか、慎重に考えることの重要性を痛感しています。
もしあなたが今、転職を考えているなら、目先の条件だけでなく、長期的な視点と、この「信頼リセット」という現実も踏まえて、後悔のない決断をしてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント